Eno.633 コトウモリペンギン

■ ペンギン

ペンギンは怯えていた。
海辺で見かけたくだんの亀を、住処の近くで見かけたのだ。
動物たちからしても、ここは小さな島だ。
島のどこかで見かけた動物は、基本的に見かけた場所がどこだろうと生活圏が被っているのだが、ペンギンがそんなことを理解できるはずもなかった。

コトウモリペンギンは、比較的ねぐらへの執着が強い種類のペンギンだ。
だからこそ、海を泳いで他の島に行けるにも関わらず、ペンギンはこの島に戻ってきていた。
しかし、ねぐらの近くも安心できないとなると……。
……人間であれば引っ越しも考慮するところだが、そんな状態になっても、ペンギンにはやはりねぐらを捨てるという選択肢が持てなかった。