■ 焼け石に水、って感じだな
探索で手に入れられる木材の中で、倉庫にぶち込める分がざっと半分で、大体10本くらい。
海水を蒸留するのには1本につき木材2本必要と考えると、たったの5本分にしかならねェ。
伐採をすりゃぁもっと大量の木材が手に入るのは分かっているが、正直、今の食料事情と水分事情だと、消耗がデカすぎて、本当に余裕がある時じゃねぇと難しい。
幸いなことに、罠がまだ一度も壊れてねェからなんとかなっているが、ここで壊れるとかなりの痛手になるだろうな。
下手に動かないってのも、一つの手段なのかもしれないが……まァ、疲労感やら空腹、喉の渇きは酷いが、まだまだ身体が動くからな。
ガラスを踏んづけて怪我してるやつとか、今にも死んじまいそうなやつがいる以上、ちょっとやそっとの怪我じゃ死なねぇ俺のような奴が動かねぇと、不味いだろう。
まァ……大層なことを言ってるが、この拠点に対する貢献度は大したことねぇかもしれねぇがな。
やっぱり……生きててなんぼだからな。
俺は死にたがりに間違われるような生き方をしてきたが、死にたがりは嫌いだ。
犬死も無駄死にも、二度とゴメンだ。
それに、こんな場所でくたばるわけにもいかねぇからな……理由が理由だし、俺には治めねぇといけない領地と(くっだらねえ貴族のいざこざに関するゴタゴタが大半だが)片付けねぇといけない仕事がある。
臆病だと罵られても、それが俺の今の生き方だ。
──今の俺には生きる理由がある、生きなきゃならねぇ理由がある。
全てに手が届くなどと思うのは、傲慢だ。
自分の身すら儘ならないのにあれこれ手を差し伸べたところですり抜けていくものが大半なことなど、分かっているだろう?
……やれやれ、スエンが心配で追っかけてきただけってのに、ここまでハードだとはな。
流石の俺でも、こればかりはアイークに一言二言……いや、百くらい文句を言わせて貰っても許される筈だ。
知らないうちに無人島に飛ばされたスエンが、灰になって帰ってきたなんざ言われたら、俺まで灰になりかねないぞ。