Eno.139 薄井すもも

■ ここにいたるまでのこと

誕生日を迎えたばかりの少女。家族で船の旅行にお出かけ中。
プレゼントのフリルいっぱいの洋服でおめかしした少女。大きな海や広い船内にはしゃぎ、駆け回っては両親や兄に注意されていた。

風を顔に受けながら海を眺めていた少女。遠くの海面の水飛沫をクジラが跳ねたと勘違い。
魂が蛮族の少女。湧きあがる好奇心に身をまかせ、クジラを捕まえようと誰も見ていない隙をついて海に飛び込み。
腕白なだけのふつうの少女。当然のように溺れ、水の中で意識を失う。

気が付けば見知らぬ砂浜に倒れていた。