■ 名前を付けて、白鯨
いやー今日もよく働いた。
最近は岩場で専ら釣りをするようになった。
時間がかかるんで細々としたものづくりは皆に任せがちになってるが。
そういえば、今日はしれっとここに記憶喪失者がいることが分かった。本当にしれっと名前を「忘れた」なんて言うんだから大したもんだよ、西島。
ふっと白いワンピースに準えて、
白いクジラのことを思い出したのはなんでだろうか。
……ああ、やっぱりフートだろうか。
最初に会った時は『とてもお淑やかなお嬢さん』って感じだったあの人。
海の国の街でも外れに住んでた俺とはまるで対照的で、よく冒険者なんてやろうと思ったなと感じたけれど、同じ冒険者になったから、並び立てたあの人。
足が鯨の体になっている、いわゆる人魚のような半人外だから。いつも車椅子で見た目はそれこそ『病人』のよう。
フートにも白いワンピースが似合うだろうなって。
そう思ってたのかもしれない。
全く他人の女の人に、自分の恋人を重ねて見るなんてなあ。
なんて失礼なやつだ俺は。怒られればいい。