■ 魔王は語る、青い神の末路を、少年の正体を
「青色、アダム、世界のシステムとしてバグのある最高神。
当然、そのままであることを創造主が許すことは無い。二代目となるべき新たな神を生み出した。
時を同じくして、神に抵抗する者たちが手を取り合い始めた。」
「彼らが連帯し、最高神を討伐しようと力を合わせ……その過程で生まれた魔王が僕だ。」
「神に抵抗する者、規格外の魔力を持つ存在、それが魔王。
僕自身は、魔王としては3番目。その出自と性質から『混色』の名を持つ。」
「そう、1番目と2番目は討伐に失敗した。
そして、僕らの代で、青き神・アダムの討伐に成功した。」
「しかし、それでは終わらなかった。
アダムには写し身が、分身体がいた。」
「魂を分けた分身。
『英雄の器』の権能と記憶の一部を回収し、『英雄の器』であった少年を殺した少年の兄を呪っていた──」
「奴は自分のことを、『アベル』と名乗った。」
「『アベル』は呪いの対象と共に随分遠くに行っていたし、呪われた本人にも地獄のような苦しみを与えていたから、倒すのに本当に苦労したよ。」
「けれど、ようやく成ったんだ。
青い神は、ようやく絶たれた。」
「それで、僕は鹵獲した『アベル』の処分に困った。
腐っても全知全能の写し身、英雄の器の権能。
食い潰すにも飼い殺すにも微妙。」
「なので、いっそ眷属にしてしまうことにした。」
「不完全な感情がバグを産むなら、人間相当の情緒を。
ちょうど『英雄の器』の少年の記憶があるから、その人格を配合する。」
「しかしそれでは強すぎるから、目隠しをして、四肢に細工をして、制限をかけて。」
「最初から手元に置いては吠えるだけだろうから、僕から引き離して……
そう、人と協力しなければならない状況が望ましい。」
「人格の形成。情緒の成長。
爆弾を持つのが赤子だからいけない。分別のある子が持っているなら問題はない。」
「セト=ロベリア。アベルの弟の名。
『いつも愛らしい』『謙遜』の少年と、『貞淑』を謳い『悪意』『敵意』を産んだ神の混成体よ。
いい子になりなさい。その力を持つに値するように。」
「……これは君が僕に課したことだからね。
復讐だよ。少しは過程で苦しんでくれよ。」