Eno.277 ニケラ

■ 【鍋の蓋から滑り落ちるように】

実にまずい。
うすうす感づいてはいたが事態は思ったより深刻になっているようだ・・・
妙に体が疲れる。大将ほどではないにしても俺だってかなりタフだと自負してたんだが、今や3時間動いただけで体が軋むようになり動けなくなる。
喉はやたら渇くしどれだけ食っても腹が膨れている気がしない。
・・・これはばかげた憶測だが、ここは俺の居た世界とは別の世界なんじゃないだろうか?

妙な格好の連中に、聞いたことのない単語・・・
だが言葉が通じているから純粋に異国の文化だと飲み込んできた。
だが、実は俺の方が異質なのではないだろうか?

大将が言っていた。世界は一つではないと。
裏返した鍋の蓋を重ねるように、世界は複数重ね連なっていると・・・
もしかしたら俺は任務で海を渡る途中、その層を落ちてしまったのかもしれない。

あー。
大将はなんて言ってた?元の世界に帰る方法・・・世界をまたぐ大ヘビに飲まれるんだったか?雲を練って輪を作るんだったか??あぁもうどうでもいい。どっちも俺にはできねえ!



他の連中は何を考えてる・・・?
これも一つ、おかしな話だが連中の中から物の怪のにおいがする。
実はそいつがあやかしで、そいつのいたずらでここの島にたどり着いたなんてことは無いだろうか?


・・・ああよせよせ。この島で言葉が通じるのは俺にとっても唯一の希望だ。
疑うことは自らの首を絞めるのと同義・・・だが、間違いなく人間以外のにおいがする。
それともこの世界ではそれが普通なのか?


ああ、もうずいぶんと疲れた。
少し横にならねぇと・・・