■ 倉庫と書き置きと砥石代わりと
また倉庫を建てられそうなほどに材料が集まったんで、建てようかと呟いたらアノーヴァがひとつ提案してきた。
『人魚の小娘が出入りしやすいよう、次は海辺に建ててほしい』――と。
他の遭難者たちも同意していたし、それなりに調子も戻ってきたからね、気前良く洒落たモノを作ってやったよ。
その後、使えそうなモノを探して島中を駆け回った。
岩場で濡れたノートを。砂浜でスレートの欠片を。
ノートは乾かして、倉庫に眠っていたボールペンを一本添えて書き置きできるようにした。
まぁ……もしペンが持てなかろうと、そこは各自でどうにかしてもらおう。
スレートの欠片は砥石代わりにして、傷んだ刃を研いでやった。
これで二本目の鋭い斧が作れるね。今度は普通の鉄の斧にしてやろうか。
――仮眠している間に、コンテナも一ケース増えていた。
そして丁度雨も降っていたから、全員が飲める水でいっぱいにしておいた。
あたしは別に雨水でも問題ないが……〝私〟は拗ねるだろうね。
『私はこれでも女王なんですよ?』とか言いそうじゃ。
もっとも、今は状態を確認する事さえ封じられているようだからそれを知る事もできないんだがね。