Eno.217 今田

■ 雨


雨が降ってきた。彼女は雨に濡れながら少年について行った。







この小屋はとても隠れている。少年が案内してくれなかったら彼女は見つけられないのだろう。
いったい誰が作ったのだろう?そんなに古びた感じでもないし、自然物なわけでもない。
少年は自分も遭難者と言ったが、服はそれほど汚れていなかった。こんな少年が建てるような小屋とは思えない。
(…他に人がいたのか?)



「島中を大体回ったけど、お姉ちゃん以外に誰もいなかったよ。人の気配もあまりないし。」

少年は彼女の疑問に答えた。少年の話では、彼も彼女よりほんの1日ぐらい前に来ただけ。
「いいんじゃないか。つまり、ここは昔にも僕たちのような遭難者が居て、しばらく生活してたら救助されたわけだね」
少年は彼女を慰めた。

自分は一人じゃないと知ったからか、それとも少年に慰められたからか、彼女は前より少し落ち着いていた。
「雨水を集めに行く!お姉ちゃんは休んでいて。」
少年は空き瓶を持って外に走り出した。


疲れていた彼女は場所探して横になった。