■ 《19: アノーヴァ・ピィヴァルの日記 - パン》
起きたら窯ができていた。
あの丸い木の実……粉っぽいと思っていたら本当に小麦粉の代わりになるらしく、パンを焼くことができたようだ。
焼きたてのパンを初めて食べたのなんて、つい最近のこと。
タカアキに連れ出されて行った先の街で……
……そこは確か、テツの国だった。
私とタカアキは……神殿を出て山を降りた後、すぐ彼らに保護されることになったのだ。
待ち伏せをしていたディナイア教団の手のものたちに攻撃を受け、もうだめかと思っていたところを。
テツの国は何もかもを機械仕掛けで管理することを目指していて、パンも工場でまとめて作る。
将来的には材料も機械で育てられるようにして、一から十まで自動で作れるようにする、とも言っていた。
パンに限った話でなく、どんな食べ物も、服や道具も……あるいは絵や音楽といったものさえも、全て。
……昨日の夜から過去を思い出すばかりだ。
パンの味は気になるけど、なにしろひとつ作るのがやっとだったようなので……
他の誰かに食べてもらおう。