■ ペンギン
ペンギンは行動範囲を広げた。
四方を海に囲まれた小島といえど、地形により環境は大きく異なる。
これまでペンギンがよく出入りしていたのは、起伏の激しい岩場に面した海岸だ。
岩地は小さなペンギンにとって、何度もジャンプをしなければいけない悪路ではあるが、身を隠しやすい利点もある。
また、岩肌には多くの藻類が育っており、それが多くの魚たちを育んでいた。
一方、今日ペンギンが出かけたのは逆側の海域。
穏やかな砂浜に面した海岸だ。
人間が海水浴を楽しむなら、おそらく大多数がこちらを選ぶであろう、歩きやすく平坦な、美しい砂浜だ。
しかしペンギンからすると、上空にいるハヤブサやカモメたちから身を隠す遮蔽物が少ない土地でもある。
ペンギンは、普段よりもやや警戒しながら、ゆっくりと砂浜を探索した。
その結果、海中に珊瑚礁を見つけた。
こちらも岩場と同じく、小魚たちが多く潜んでいる環境だ。
ペンギンは、珊瑚礁を美しい景色としては記憶しなかったが、餌場の一つにはしてもいいかもしれないとは、小さな脳みそで考えていた。