Eno.18 クリム・ルミリア

■ DAY0

勢いで家で飛び出し、港の船に乗り込んだ。
海はいい。広いし穏やかだ。
ここには、国籍も種族も何も関係ない。
何より母が大好きだった場所だ。

さざなみの音は遠い記憶を思い起こさせる。
母に連れられて来た白い砂浜。ピンク色の貝殻。
あの時の貝殻ってどうしたんだっけ。持って帰ったような気がするのに、薄ぼんやりとしていて思い出せない。

小さなリュックにろくな荷物も入れないで、突発的に行った家出に、ワクワクとした気持ちを抑えられないボクは、父がいうように未熟なのかもしれない。
でも、それでいいのだ。未熟なままでかまわない。自分を押し殺してまで、立派な大人になんてなりたくはない。間違ったことじゃないはずだ。

甲板から見下ろした海は、ただキラキラと輝いていた。