Eno.139 薄井すもも

■ つちをやいて じゃりをまぜて

壊れた物は直そう。新しい道具を作ろう。
もふもふの少女と分担して、狩猟罠とショベルを作る。
素材は赤い髪の少年が堅実に森から集めてくれたものだ。

さっそくショベルを担いで岩場へ向かった子供。岩なので掘れなかった。当たり前である。
その代わり釣りで手に入れた網で、倉庫の肥やしになっていた籠を強化する。
背負えるようになったそれを、喜んでくれたもふもふの少女へ贈呈した。

紐状の素材はなにかと便利なのでいくらでも欲しい。
新しい素材で家でも作れないか。必要なものはレンガだろうか、コンクリートだろうか。
そんな事を三人で語りながら、今度は窯ができた。進化するひみつきち。

子供は改めてショベルを担いで砂浜へ。
石と砂。少量の貝が得られるようだ。
拠点へ持ち帰り、焼いた貝を皆でおやつに。ぷりっぷりの磯の味。

さらに次は森の土を掘りに行く子供。
そこで得た砂利をいろいろな物と混ぜて遊んでいたら、子供はそうと知らぬままコンクリートが出来ていた。
途端、密かに忘れていた灯台の作り方を思い出す。
初日に拠点や倉庫を建てた二人に追いつきたくて言い出した目標。
その時には浮かんでいたはずのそれを、気が付けば忘れていて、実は無表情の裏に動揺を隠していた子供。
しかし思い出したので、親分失格にならなくてすんだぞと、こっそりと安心している。いつも通りの無の顔で。