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海をはじめて見たのは18くらいだったか。
平野、山、森、川。それだけで事足りる生活。海は特別に遠出していくような場所だ。
行ったら行ったで潮風がベタついて。はじめて嗅ぐ磯の香りに始終落ち着かなかった。
仕事で船を利用することが増えた今もその印象は変わっていない。長居をしようとも思わず。そこまで興味もないまま。
ただ、港町や船で食う魚料理はうまいな。アクアパッツァもそうだし。魚のピザなんかでも魚が新鮮だと違う。生で野菜とあえるだけでも信じられんくらいうまい。
(うちのオイルを使う店も増えてきて、それがうまさに輪をかけている)
そうか、ヨナミさんはそんな海の近くで暮らしているのか。
だがヨナミさんから受ける海の印象は俺の抱いていたそんな海とはかなり違う。もっと楽し気で豊かだ。
そのおかげもあってか、海はいいものだと自然と口に出るくらいには好印象に変わってきた。