Eno.649 リザベラ・レイモンド

■ 祈りの灯火

晴れたり突然大雨が降ったり。
この島に流れ着いてまだ3日だけれど、とても天候が不安定。
雨の時は視界が効かないから、外に出ることもままならない。
いざという時に食べ物を探しに行くことが出来ない。
とても不安。
もしすべての罠が壊れたら?
もし1匹も獲物がいなかったら?
もし……食べなければ飢えて倒れる状態の人がいたら?

倉庫の中に蓄えがないと、自分だけで食べることを躊躇してしまう。
飢えは、怖いわ。

わたくしの故郷、うつくしいあの島。
けれど旱に大時化、次々と襲う自然の猛威に、恵みが尽きてしまった。
じわじわとやせ細っていく大切なひとびと。守るべき同胞たち。
自分が生まれてから他より優遇されて育てられたのは、こうした時に勤めを果たす為。

わたくしはリザベラ・レイモンド。あがないの花嫁。

同胞から差し出された分の命で、こうして生き残っている。

何としてでも試練を果たして、わだつみ様にお目通りをしなければならないの。


……、……、……、……。


森の中で見つけた燃え続ける不思議な花。
暖炉の前にいる時のように、見ていると心が落ち着いてくる。
雨が降ると、あの子……ジョザイアが来た日を思い出すわ。
海に落ちたと言って、憔悴していた姿を。

この島で出会ったヒトたちも、死んでほしくないわ。
まだ出会ってからたったの数日だけれど、強くそう思う。

この花に守護の祈りを籠めて、灯火とするわ。
決して傷つくことがないよう、歩む道を照らす手助けにして欲しい。

どうか、みな健やかでいて。