■ 適材適所ってやつだな
怪我したり参っちまったりで今にも死にそうなやつを抱えてるもんで、役割分担をすることにしたらしい。
まァ……俺は変わらず森で罠の管理と、木材の収集をしている。
この前、無茶した分は徐々にだが回復しているが……やはり伐採は消耗が激しい。
だが、無茶をして俺まで外に出られなくなっちまったら本末転倒なんで、食料と水分、そして休息はとりつつという感じだ。
万全の状態に戻ったらまた、この前のような無茶をしても大丈夫かもしれんが、今はその時じゃねぇ。
スエンは水を回収する係になったようだな。
……まあ、最初はそれくらいから慣らしたほうがいいと思うぞ。
この頃は雨が降って水には困ってなかったが、晴れが続いたら水が本当に貴重になるからよ……。
あとは……スエンに言ったら怒られそうだが、海に落ちねぇか気が気じゃなかったから(お前そっくりな母さんはお前がいる時にでっけえ水槽に落ちやがったからな……)ちょっと安心している。
生憎……こんな場所で鴉を召喚するわけにもいかねぇし、すぐには助けにいけないからな……。
あと煉瓦の話の時にうっかり城の住み心地はあまり良くねぇって愚痴ったら、小さな無邪気な子供にキラキラとした眼差しを向けられちまった。
いや……うん……お姫様だ女王様は夢を見ている時が一番幸せだと思うぜ。
現に、アイークは貴族のあれこれを嫌がって、城を抜け出して飯を食いに行ったりするしな。
きっと、お前のような自由な子供には窮屈で仕方ないと思う。
しかし……お姫様だ、に憧れてた頃のお前はこんな感じだったんだろうか?
いや……誰かが助けてくれるのを待ってたっつってたから、こんな無邪気な感じじゃなかったか……。
あと……小さい頃の3人は、こんな感じだったんだろうか。
家族とは言うが俺には知らないことが多すぎるな──あの時復讐を選んで、家族を置いて行ったのはこの俺自身だが。
……イナンナに、今更父親面しないでって言われるのも、まあ仕方ないとは、思ってはいる。
あの時の選択は仕方なかったとは今でも思ってはいる。
だが……あいつらがデカくなっていくのをそばで見守りたかったもんだ……。