Eno.61 碧きワダツミの兄妹

■ ~番外~

――何処か、海の上にて。



* * * * *



「……はぁっ、はぁ……っ、はぁっ……!」



泳ぐ、泳ぐ、必死に泳ぐ。

只々、果てしなく続く水平線を、藻掻くようにかき分けて。



「何処、だ……何処に、居る……」



我らの領域が、下劣な陸の者共に襲われた、あの日。

私達兄妹は従者達の決死の覚悟の元に逃され、必死に、隠れながら、逃げ続けた。



其の最中、突如生じた不自然な海流に巻き込まれ。

せめて、妹を離すまい、と、強く抱きしめていたのに――



「……エスティ……!」



泳ぐ、泳ぐ、我武者羅に泳ぎ続ける。

もう、かれこれ3日は泳ぎ続けているだろうか。

既に躰は疲労を越え、限界だと悲鳴を上げている。

だが、其れでも。



嗚呼、我らが神祖よ。

星映す海鏡(ミカガミ)の大神ディオスメールよ。



どうか、独り泣いているであろう我が妹を、お護りください――