■ まなざしの射程
何かを好きになると、人はまなざしが変わる。
何かを嫌いになっても、また変わる。
まなざすものを見据えるばかりに、視界から外れた私や、他のものたちが薄れていく。
同じほどまなざされることを望み、あるいは、忌避する。
その、目で行われながらも目には見えないふれあいをめぐって、人と人は近づいたり、離れたりする。
さまざまな感情に、心をかき乱される――良くも悪くも。
人の希う視線にも、厭う視線にも、同じくらい置いていかれるような気持ちになるのは、単純に私の心が幼いからだ。
まなざすものと、まなざされるものに憧れて、美という名の、何よりかたちなきものに絡め取られたにもかかわらず。
ただひとつを射抜く目と、限りなく広い視野とを両立できるようになったとき、私はきっと大人になれるんだと思う。
今はまだ、想像もつかない視界だけれど。