■ ひとりでは無く五名
仮眠から目を覚ますと、件の人魚の小娘は既に意識を取り戻していた。
怪我はまだ痛むようだが、後は医療関係の手伝いをしていたと言うリーバに任せる。
丁度アノーヴァが、小娘のための家を建てよう、という話をしていた。
確かにこの先の事を考えれば、悪い話じゃ無い……いや、むしろそろそろ建てても良い頃じゃ。
だが、アノーヴァの言い方が気に入らなかったので、突っ込んでやった。
口ではなんとでも言えるし、口約束だけならタダじゃ。
だが、そういう奴ほど――その口約束を簡単に破る。
綺麗事を並べ立てて、だけどそこに自分を含めない奴のなんと多い事か。
何に怯え、何を恐れているのかは知らないが……ここには今、五名の遭難者が居る。
島の広さに対してたったの五名だが、それでもひとりでは無い。
小娘は勿論の事、リーバもサメーンも、あたしだって居る。
ならばその不安を分けて、背負わせちまえば良いだろう。
……あたしはあまり背負いたく無いがね、後で〝私〟に突っつかれるのも嫌だから。
仕方ないから背負ってやるよ。仕方なく、ね。