Eno.430 森川エルフィンストーン

■ エルフィンストーン手記8

『今日もまあいろんなことがあった』





『円山さんが離れ小島に行こうと雀卓漂流に再チャレンジした。
 当然だが心配する者が多く出る。
 案の定小林さんなどは泣きはらすほどだ。
 あれを壊されると、麻雀ができなくなるな』


『遠くから厚い雲がゆっくりと近づいてくる。
 近いうちにこの島は嵐に見舞われるだろう。
 なにが起きてもおかしくはない。可能な限りの備えが必要だ』





『皆が寝静まる前に空屋敷くんが切り出した話は刺激的なものだった。
 この島が異次元空間かもしれないという話だ』


『とかく悲観的になりやすいこの状況で
 その仮説は多感なクラスメイトに良かれ悪しかれ波紋を起こしていたが、
 あるかもしれない他の島との連絡は、試みてみる価値があると考える』


『小比類巻さんが事もなげにまとめた
 “ご飯も水も拠点もあるし大丈夫でしょ”
 という言葉が、個人的にはもっとも面白い』


『それ以上に、空屋敷くんが最後に結んだ言葉も、かな』





『………』


『あのとき口には出さなかったことがある』


『僕はみんなとは歩く速さが違う』


『みんなと同じ時に人生の終わりを迎えられるなら、それはそれで悪くないと思った』


『僕だけのことを考えたらね』





『あとヒトデ粉末騒動の掃除を手伝うハメに。
 男子みんなで悪ふざけして戸狩さんが怒る、
 この流れもひさびさで実家のような安心感だな』


『実家、ずいぶん帰ってないけど……』