Eno.139 薄井すもも

■ てらすもの

雨合羽を羽織った子供が、雨のなか岩場へ森へ。
食糧の確保と、灯台作りにもう少し必要な木材を集めに。
もふもふの少女に褒めてもらい、上機嫌にくるくる回る青いてるてる坊主。

ようやく、灯台の材料が揃った。
大量の石を砂浜に運び、一つずつ積んでいく。
園児の時分に身長までの高さの積み木で満足しきれなかった子供。
おもちゃの枠を超えたそれにわくわくしながら、積んで、組んで、完成。

それは夜の砂浜を照らし、砂浜から近い拠点も照らし。
島から遠くの海へ向けて、光を放つ。
その光は、きっと冒険の仲間を家へ帰す手助けになるだろう。
力を使い果たし、満足して帰る子供。
しかし、その後ろで、空が不穏な色を見せ始めていた。