Eno.237 鬼島白虎

■ メモ書き・その9

だいぶ痛いのも無くなってきたから、嵐が来る前に使いやすくなった銛で魚やサメを取ってきたりしてた。
代わりにパンふたつ食べちゃったけど。
これで間に合うといいけど。

……嵐が近付いてきた時、急に脳裏に、ここじゃないどこかの景色が流れてきた

ゴロゴロと止まない音、ぴかぴかと眩しい光、ざあざあと降り続ける雨。
おうちの中に居てずぶ濡れになる事は無いんだけど、すっごく怖くて、怖くて、怖さに押し潰されそうになって。
そんなアタシの手を、誰かが握ってくれた。
顔を向けると、夢で見たのと同じ黄色い尻尾

――怖い?

あの時と違って今度は声が聞こえた。
顔は相変わらず覚えてないんだけど。
脳裏のアタシが頷くと、そのひとは寄り添ってくれた。

――これなら怖く無いっしょ?

声の調子から、多分笑ってるんだと思った。

――【××】は怖がりだもんね。ウチが居ないと、こーゆー時ダメダメになっちゃうくらい。

名前を呼ばれた気がするけど、そこだけよく聞き取れなかった。
でも、名前を呼んだって事は……もしかして、このひとはアタシが知ってたひと……?
一瞬だけそう考えた時、アタシの目の前はに戻ってた。