■ 綾乃記録 そなえる、その5
やっぱり嵐が怖い
夜中なのに目が覚めてしまった。
でも雨はちょっと強くなってきて風も吹き始めたけど、『ハリケーン』ほどじゃない、と思う。
みんな寝ているからちょっとだけ雨の中を探検。
ケガもしなかったから怒られないはず
そういえば強い雨、くらいだと思ってたけど嵐、ハリケーン、ってみんなが言う。
戦ったり、ドラゴンがいる世界から来た人ほど「備えないと」って言ってる気がする。
やっぱり、とんでもないことになるのかも
……小屋は補強したから、きっと大丈夫。
だってみんなでしたから。
一人でするより、強くなった気がする。
晴れた日は畑のことをして、雨の日は家で本を読む……
せいこーうどく、ってお婆ちゃんは言ってた
外に出たら危ないから小屋にいるしかないのと、雨だから畑はお休み、ってちょっと違うかな
書置きのおかげで布があつまった。
ハリケーンが来たときは、まえに書いたみたいに島と小屋の応援をするけど、疲れた時用の準備もできた。
記録、残しておきたいこと。
ジセレカさんが、フレンチトーストをくれた。
この島のパンは、小麦粉じゃなくて木の実から作るから「それっぽいもの」になっちゃうけど。
ジセレカさんは、人間がほとんどいなくなった後の世界で、人間の生き残りか、人形さんの世界らしい。
ジセレカさんがキレイなのは、お人形さんだからなのかな、って思ったけど
お話しできて、私のまねをして楽しそうなジセレカさんは、人みたい。
人がいなくなるくらい遠い未来のことはわからないし、私の思う『人形』よりすっごい技術なのかもしれないけど、
気持ちがあって、お話しできて、笑ってくれるジセレカさん
そこに、人間か人形かっていうのは、あんまり関係ないと思う。
雨ごいのぼんおどりをしたときに、楽しそうだったから
『にんげん』が集まった時にどんなことをしていたのか、本で読んだことを自分でもしてもらいたい
だから、フレンチトーストもジセレカさんに食べてもらいたいと思っていたから、分けてもらったときはどうしようって思ったけど、ちゃんとジセレカさんの分もあるっていうから、食べさせてもらった。
すごくおいしかった。
ジセレカさんも、お料理ができてたのしい、って言っていた。
ホンカンさん……ベルちゅういさんは、頭は資料集で見た電話みたいだけど、人で。
頭から上を変えても生きていけるってところで、違う世界なんだとはおもうけど
軍人さんってことは、きっと命がけで戦っていて
それでも、私の話を聞いてくれたり、盆踊りの音頭を知っていて、なんだか不思議。
とっても怖いっていう鬼みたいなジョウカンさんは、ニンジンが嫌いな人と同じ人かな
嵐の間はみんな小屋にいると思うから、もっとお話しできたらいいな
私の知らない世界のこと、もっとききたい。
今はまだ子供だけど、やりたいことも、ちょっとだけわかってきた気がする
そのためには、たくさんお話を聞くことが大事だと思う。
きっとそれは、今ここでしかできないから
……頑張る。