Eno.403 ジセレカ・キサラギ

■ 親愛なる弟へ

勝手にノート、使っちゃってごめんね。
でも、君はまだ、自分のことに気づけてないみたいだから、ここに書き置きをしておきます。

私の世界は、もう滅びかけているのは、知っているよね。
人間が住めなくなって、魂を人形に植え替えたっていう歴史も、歴史の勉強が大好きな君なら、もうとっくに勉強していることと思う。
人間は街で保護しているけれど、人口は減る一方。もう種としての維持は難しい。かといって、生命体とはいえない人形に、これ以上の発展は期待できない。

人形同士で子を成す魔導システムが100年くらい前に完成して、今の人形達は3代目〜4代目くらい。
当然、人間と人形の間で子を成すってこともできるようになった。まぁ、法律で禁止されてるんだけどね。

何せ、混ざり物が産まれると、絶滅危惧種になってしまった人間の保護という名目に反するし、魂が一つに統合しないから、自分が何者か分からなくなっちゃうんだって。

私はKay Kisaragi。混血児の統合しなかった魂の片割れ。
君の姉として君とずっと一緒に在ったし、君にこっそりフレンチトーストのレシピを教えたのも私。
どう?美味しかった?

君はこれを読んでも、実感は湧かないかもしれないけど。
私は、君のことを、同じ身体で見守っています。

ハリケーンなんかに負けないでね。

姉より