■ サミーのいつかの記録1
私には腹違いの姉がいました。
姉は、私と違って父からとても愛され、幸せに暮らしていました。
母は早くに家を出てしまっていたので、私は祖母の家で預かられていました。
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父は研究者でした。
幼い子供へ人体実験をすることで魔法産業の研究に使っていました。
夏の国『グラス』が秋の国『シン』と魔法産業で競争していて、
この世界の魔法技術の発展のために上層部として働いていました。
成果が出ないまま、秋の国が魔法人造人間を創り出す技術を徐々に確実なものにして
躍進し続けてたことに対して焦りを感じた父は、
ついに自分の子供……つまり、私を使い始めました。
結果は半分成功。しかし、さらなる研究のために、私はデータだけ採取され
そのまま捨てられてしまいました。
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このときに獲得した能力《ちから》が、"遅延魔法(ディレイスペル)"でした。
しかし父は気づいていませんでした。もうひとつ能力を獲得していたことに。
それは"魔力の超高速回復"でした。
使っても使っても湧き上がり、そして尽きることのない魔力。
父も気づかなかったそれに気づくのに、いくつかの年月を要しました。
この2つと、そして魔法アプリをインストールできる大容量のタブレット端末を
用いることで、非常に強力な魔法を蓄えられるようになりました。
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私を捨て去り、幸せな人生を獲得した姉と父が憎いと思いました。
絶望と、そして怒りで、私はこのように考えるようになりました。
自分を散々玩具のように扱ってきたのだから、私も人を玩具にする権利がある。と。
それから、この能力で、自分を虐げる人や幸せな人を数え切れないほど
壊していきました。私はそんな人たちを玩具にしていいんじゃないですか?
あなたたちもやってきたことなんですから。
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ある日、そんな自暴自棄な生活を遮るように、
私の人生を変える一通の招待状が届きました。
『あなたを――――へ招待します。』