■ 時間の感覚と食事の事情
気のせいかもしれないが、この島は時の流れがゆっくりなように感じる。
それでも、確実に嵐は近付いている。いや、もう、遂に来たと言っても過言では無かろう。
嵐の間は外に出なくても済むように、予め書き置きにメモを書き残しておいた。
そう、『食材と飲み物は、もしもの時は半分に分ける事』――とね。
リーバが作った湿布を半分に切り、エスティにも貼ってやった。
突然の事で、小娘は驚いていた。愉快愉快。少しは元気になったようで何よりさ。
魚介類の食料はかなり備えられたが、いかにせん、エスティが人魚だからねぇ。
四の五の言ってられなくなるまでは、なるべく食べさせるわけにはいかぬ。
サメーンは魚どころかサメすら平気で食べているが……このサメ嬢、できる……。
リーバは、ここに来るまでは木の実しか食べてなかった、との事だが、あたしらを助けるには躊躇っていられなくなった……と言った。
その心構えは立派だが、全員が全員、気持ちが割り切れるわけでは無いだろう。
……故に、そうまでしてあたしらを助けようとしてくれている事には、感謝している。
そういえば、なるべくエスティが見てないところで魚を食べようとしてきたが、あたしらのような陸の生き物は魚も食べるという事を、知識としては持っていたようじゃ。
気にしなくて良いとは伝えてくれたが、この島に流されて来た者たちの中では最も幼く見える小娘には、些か荷が重いようにも思う。
身なり的にも、孤児と呼ぶには綺麗過ぎるし、恐らく家族が居る子供と見た。
離れ離れになって寂しい事だろう…… ん?
しまった、つい小娘の事を心配しちまったよ。