Eno.479 明智光秀

■ 嵐の日

 嵐が来た。

 最初は、遠い空に真っ黒な雲が漂ってた。
 島自体はすげー天気がいいのに。

 そのうち、雨が降って来て。
 段々、風が出てきて。

 ついに、すんげー風と雨になった。

 あやしい雲が見えてたぐらい……より、ちょっと前か?
 そのくらいから、拠点を豪華にしてーなー、って話を、すももやススキと、丁度、してたところだったんだよなー。
 そん頃には、ススキが窯を作ってくれたおかげで、色んなものが焼けるようになってた。粘土とか煉瓦とか。
 お陰で、すっげー丈夫な壁が出来上がった。

 食料取りに行くと、食った分より増やせた試しが殆どねーもんだから、おれは堅実に薪集めばっかりやってんだけど。
 そーやって、薪割りばっかりに専念できるのも、すももとススキが備蓄をいっぱいやってくれてるお陰なんだよなー。
 嵐が来る直前にも、すももが魚をたくさん倉庫に蓄えてくれてた。
 罠に掛かってたウサギもあるし、貴重な肉もしっかりある。
 勢いでヒトデの粉くって苦い顔してたら、ススキがイノシシの肉くれたりもした。すげーいいカンジの焼き具合のやつ。すげーうまい。

 雨風はすげーんだけど。
 こんな嵐の中でも、砂浜にすももの建ててくれた灯台の光が、結構よく見える。
 それだけでも、なんか安心するんだよな。
 安心ついでに、暴風雨の中、走り回ったりしてみてー気もすんだけど。ふつーは怒られるからなー、こんな時くらいしか試す機会ねーし。
 っても、魚釣りとか銛突きで実感したけど、おれはたぶん、だいぶ運が良くないんじゃねーかって思うわけで。
 勢いで飛び出していって、よくねーことになったら大変だし、ここは普段の薪割りと同じに、嵐が過ぎるまで堅実に過ごす方がいい気がすんだよなー。
 女神の防御壁と、おやぶん謹製の備蓄があれば、十分持ち堪えられるし。
 嵐のあとに何するか考えたりしながら、のんびり過ごすことにしよーっと。