Eno.534 久木沢 杏子

■ 記録

今は嵐の真っ只中、不安と手持無沙汰がないまぜになっている中で
「そういえば何も記録してなかった」と思い出したので
眠りにつくまでの少しの間、こうしてペンをとってみることにした。

日数感覚が確かならこの島で目覚めて既に4日が過ぎて5日目に入った頃のはず。
それまでの私は……
前半は焦りと油断から早々に体力が尽き死にかけて助けられて回復に努めて、
後半は程ほどを覚えて木材の補給と食事の作り置きを主にしていた気がする。



数年前にも似たような遭難を経験した事がある事は、まだ誰にも話してはいない。
勝手が全く違うというのもあるけれど、
あの時は少ない人数ながらもそれぞれが出来る事をしていたし、
そう出来るように気を配っていた中心人物たちがいたのも大きかった。
そういう意味では私の経験はあまり役立てられるものでもない、と思う。

やはり、ちょっと怖いのだろうとおもう。
でも今は、できる事で皆を支えていたいとも思う。