Eno.403 ジセレカ・キサラギ

■ こいのはなし

ハリケーンがついに来た。
普段は外で頑張ってる人達も、今日は拠点に集まって、盛り上がっている。

なぜか、恋の話が始まった。
サートには、故郷に婚約者がいるんだって。話してくれたサートは、顔が真っ赤で、恥ずかしそうだったな。
セト様は……失恋を、経験してるみたい。
神様って、色々あるんだなぁ……深くは触れないことにした。

ミツバの世界では、恋をしたら爆発するっていう例え話があるらしい。
爆発しちゃったら子孫を残せないって、ちょっとびっくりしちゃった。でも、爆発するくらい、気持ちが揺れ動くんだろうな。
よく、分からないけど。

ボクの世界では、恋は本の中だけの話。
15歳までに結婚できなかったら、政府が決めた相手と結婚するっていう法律がある。
人が少ない中で、15歳までに恋ができる人なんてほとんどいないんだ。だから、ほとんどの人は、政府が決めた相手と結婚する。
古事記には恋の詩もたくさん載っている。昔の人は、たくさん恋をしたんだろうなって、そんなことを考えることがある。

だから、サートの話も、セト様の話も、ミツバの話も……全然実感が湧かない。

そういえば……ミツバが、「そんな世界でも戻りたいか」って。
ボクはあの世界ではからっぽだし、もっと、人間がたくさん居る世界に行ってみたいな。
一緒に祈ってくれるって。

でも、どうしようかな。
このシマが沈んだら、ボクには……

ちゃんと、居場所、あるのかな。