Eno.597 鉄原すばる

■ 表面張力

動かなければお腹は空かない。
喋らなければ喉も渇かない。

罠の修理に使うロープを編む。
ただひたすらに。

横殴りの雨が降り続けている。

結局のところ、私は泣くタイミングを逃したのだ。
溢れるぎりぎりまで絞り込んだ弱音を、張り詰めた吐息に滲ませながら。

一日でも早く帰りたい。
それと同時に、このシマの謎を解明しようとする熱意をも支えたい。

雨雨、降れ降れ、もっと降れ。
私の代わりに泣いてくれ。
私が代わりに晴れるから。

私の涙は、シマを出るまで取っておく。
今は、重荷を分かち合っていたいから。
私の我侭まで背負わせたくはないから。

見せるとしたら、軽やかな涙がいいんだ。