Eno.37 『幸福を運ぶ青い鳥』フォグ

■ こうかいにっし:あらし

しまに、あらしがやってきた。
みんなでつくったきょてんは、ときどきゆれたりするけどちゃんとまもってくれている。そとでどれだけあめやかぜがふいても、みんながいるここならあんしんだった。
でも、きっとあんしんだからこそ、あのときのことをおもいだしてしまう。

ひどいあらしのなかで、オレはこわくなってオヤブンコートにもぐりこんでいた。あそこは、きっとこことおなじくらいあんぜんだった。オヤブンがまもってくれていたから。
でも、オレをまもってくれたオヤブンのことは、だれがまもってくれるんだろう。
そのことにきづいてかおをあげると、オヤブンがにっしをかいていたてをとめてわらった。

こんどはおまえがおれたちをたすけてくれるばんじゃねえか。

ちょうどそのとき、かんぱんからコブンのこえがきこえた。おおきくゆれたふねからとびだして、うみにおちていく。
オレはいてもたってもいられずにかんぱんにとびだしていって──きづいたら、ここにいた。

あめや、ふきとばされたものがかべにぶつかるおとは、まるでオレをよんでいるみたいだった。
たとえオヤブンがいないとしても、いかなきゃだめだとおもった。
メグルサンがつくったおまもりをかりて、あらしのなかであれるうみをみた。あのときふねでみたよりも、ずっとひろくて、おそろしい。とんできたものにぶつかっただけでたおれてしまったオレなんて、きっとかんたんにのみこまれてしまう、そんなうみだった。
オレは、まもられてばっかりだった。だから、あのあらしがこんなにこわいものだったこともしらずに、ただオヤブンをたすけたいといっていたんだ。

……
かえってきたときにもっていたいしを、メグルサンがおまもりにしてくれた。サートサンは、けがしたオレのためにきずぐすりをくれた。
ずっとだれかにまもられつづけているオレが、するべきこと。オレにできること。
おまもりをにぎりながら、ずっとかんがえつづけている。