■ 《37: アノーヴァ・ピィヴァルの日記 - マギサ》
マギサさんは、一つの体に二人分の心を持っているという。
もう一方の心はなぜだか封じ込められてしまっているようだが……回復魔法が使えるらしい。
……あの人の場所ではどうだかわからないが、少なくともオルタナリアでは、回復魔法を使うには深い洞察力、あるいは共感性が求められる。
傷や病を癒やすということは身体を恒常の状態に戻すということで、それは『相手にとって、恒常の状態とは何なのか』がわからなければできないからだ。
私は始祖竜の魔力のたまものか、ある程度強引にやっても成功してしまうのだけど……
だから、マギサさんのもう一方の心の持ち主がどんな人かはわからないけど、きっとマギサさんみたいに思いやりがあるんだろうって言ったら、マギサさんは生きるために私達を利用しているだけだ、と返す。
……そんなわけがない。
マギサさんは―――私を叱っておいて自分が無理をするような人は、ディナイア教団の否徒のような者とは……
……ペタラ姫……。
ごめんなさい。あなたを、さげすんでしまったわね……