■ お人好しが多過ぎる
あたしは〝私〟じゃあ無い。
〝私〟は底抜けのお人好しだが、あたしは違う。
あたしは、自分さえ良ければ他の連中がどうなろうと知ったこっちゃ無い。
ただ、頭数が減れば生き延びる事ができないから利用しているだけ。
……そのはずじゃ。
だが、アノーヴァの言葉を聞いた時、何かを見透かされたような気がした。
本当に誰かを利用しようと思っている奴は、
誰かのためを思って叱ったり、
倒れた者を親身になって看たり、
飲んだり食べたりするのを我慢したり、
怪我をしてまで材料を集めてきたり――
そういう事をしない、と。
誰かを利用するのは怖い事だ、と。
むしろ、そのつもりで立ち回っていた、と思っていたが……
自分でも知らない間に情が移っていたとでもいうのか?
そう考えた時、今まで見守っていたサメーンも口を挟んできた。
望もうと望むまいと、他人に与えたものは自分に返ってくる。
助けて頂いた方は助けられる運命にある。
……今、正にあたしは助けられている。
嵐さえ過ぎれば良いと、飲まず食わずでやり過ごそうとしたが……
リーバからは大きな焼いた魚を手渡され、エスティからは折半した飲み水を手渡され。
この連中は、いつ裏切るかもわからないだろう、あたしを生かそうとしてくれた。
本当に、本当に、……どいつもこいつも、お人好しじゃ。
ここまでされたら、もう、無理なんてできないじゃないか。