■ ペンギン
ペンギンは家を失った。
少し前から崩れ始めていた天気、生暖かい風から、島の動物たちは嵐を察知していた。
ペンギンの巣穴は、木の根の下に出来た土穴の中にひっそりとあった。
もちろんペンギンが掘ったものではなく、キツネかアナグマか、何か他の動物がかつて掘った穴を利用したものだ。
嵐の気配を感じ、丘に登るネズミや蟻たちに反して、ペンギンは巣穴のゴミを捨て、巣材を増やし、巣の補強を徹底した。
肉食獣に囲まれて怯えていたときでも、去ることができなかった巣穴だ。
それも地下へと流れ込む雨水には勝てず、ペンギンはとうとう巣穴を放棄した。
嵐が去り、まだあの穴が残っていれば帰ることもできるが……。
ペンギンは、いつ止むともわからない雨空を眺めながら、喪失感を味わっていた。