■ 無題
目を閉じたまま数刻 意識を手放すことはできず
諦めて水を一杯分、自前のドラム缶から掬おうと水面を覗きこんで目を見開いた
慌てて辺りに誰も自身を見ている者がいないことを確認(照明が不十分なこと、慌てていたせいで見落としはあったろうが)すると安堵…したのも束の間
小さく荷物をまとめて音を立てないよう外に出る
愚行もいいところなのは自覚していたが
ある意味運は良いのかもしれない

(いきなりこんな顔見たらびっくりすんだろうなぁ…)
我ながら不気味だな、と感じる
鬼人は…所謂ゴリゴリの戦闘民族だったそうだ
欠点として非常に落ち着きがない…と言うか、運動エネルギー?をとにかく発散させないといけないらしく何かしら行動をしないと破壊衝動に飲まれて自身をコントロール出来なくなるとか 暴君か?
今の親父は義肢も相まってそういった衝動とは縁遠くなったが
半分血を継いでいるウチには少なからず影響はあるかもしれないとは 言われた
この目の変化は初期症状だ
嵐で拠点に引き篭って身体を動かしていなかった影響が今になって現れたのだろう
暴君になるのはゴメンなので…荒療治ではあるが背に腹はかえられない…と思いたい
個人の問題で関係ないものを壊すわけにもいかないのだ
…雨に打たれ続けたおかげかようやく頭が冷静さを取り戻した気がする
この島にいる間は、誰も何も知らないままできるだけ穏やかで自由であれと願ったり
荒れ狂う海を見ながら、あとはバレないうちに拠点へ戻るまでが課題だな…とか考えちゃって
ああ…帰りの方が怖いな まあ自前の食料も水も持ってるから迷惑はかけずに済むし問題ないとは思うけど…