Eno.20 スイ

■ 続き

海に落ちてから記憶があまりない。

覚えているのは落ちて目の前が真っ暗になったこと、呼吸すると耳元でざわつく泡の音が聞こえてきたこと、匂いがわからないこと、海水の独特の味が開いた口に運ばれてきたこと、それから、冷たい水の感触と必死でもがいていたこと。

どうやって助かったのかは、実は覚えていない。

運が悪かったら、今度こそ沈んでいたのかもしれない。

…それも悪くはない、かもな。

それからなんとか拠点に戻れたことは覚えている。それで、

…あぁそうだ。

スミダにラーメンを分けて貰った。ラーメンができて嬉しそうだったなとぼんやり思っていたところに、一緒に食べないかと誘われた。

なんでだと聞いたら、食べたそうにしていたからだと。

少し恥ずかしい気もしたが、食べたかったのは事実。一緒に食べることにした。

美味しかった。

とても、美味しかった。










いつぶりだろうか。
こんなにもあたたかいと感じられたのは。

良いのだろうか。俺がそう感じるのは。