Eno.110 永久の旅人

■ <誰か>との記録


自分は不老不死の存在で
だけど不死身ではなくて
深刻なダメージを受けると過去の記憶を代償に蘇る

(そんなおとぎ話のようなことってある?)


…ある

現に自分と旅を共にしているキャリーもそうだ
シオマネキとの対立後、もう一度キャリーを破壊してみたが、私と同じ呪いがかかっているのだろう…嵐の中へ消えていった写真が収まった状態で復元されたのだ

(キャリーはいいわよ、ただの鞄なんだから
でも、私は…私には感情があるのよ…)


この島のことや、みんなのことも忘れてしまうかもしれない
多分、恐らく、シオマネキも、シオマネキ以降の私もそれを恐れたんだと思う

だって…

「この写真は全部<私達>の思い出なんでしょ?」


誰一人として覚えていない<誰か>との写真
一緒に写る自分は楽しそうな笑顔を向けているのに

どの時代の、
どの世界の、
誰なのか…思い出せない

「でも不思議ね…
何も思い出せない、はずなのに…」


みんなの声が聞こえてくるような気がする





私は今どんな顔をしているんだろう
もしかするととても酷い顔をしているかもしれない
でも、それも全部、嵐が隠してくれる

嵐が去ったら いつもの私を演じよう
大丈夫、死ななければみんなのことも忘れないんでしょう?

「だったら私は生き



何が起こったのか よくわからなかった
嵐は時に残酷で容易く人の命を奪ってくるとはいうけれど、このタイミングで木が倒れてくるなんて

神様って本当に意地悪なんだな…