Eno.250 オクエット・ストレングス

■ Ⅹ.『流れ星二つ ツー・オラクル』

オクエット
「ふぅ――魔物の討伐、手伝ってくれて助かった。礼を言う」


セヴェンタ
「ははははは!
 この私が来れば魔物の群れの10や20どうということはない!」


ヴェレンノ
「姉貴、掛け算って知ってる?
 群れを10にも20にもすんな


オクエット
「一人では少々厳しかった故助かった。
 誠に感謝するぞ、二人とも」


ヴェレンノ
「たまたま見回りでこっちに来てたから手伝えた、って感じだけどな。
 ファンドからアクィップまで丸2日かかるし、
 魔物の群れを見かけて呼んだんじゃ到底間に合わない」


セヴェンタ
「こっちの方だと戦えるのはエナンくらいか。
 つまりこっちに住むと戦いたい放題か……?


ルジェ
「あたしがいるけど」


セヴェンタ
「村へ帰れ」


ルジェ
「あたしゃファンド在住じゃ!!」


オクエット
「万が一村に魔物が来たときを考えて戦える者は残しておきたいしな。
 汝らが定期的に来てくれるのは助かる。
 腕の立つ者は東の方に集中しておるからなあ」


セヴェンタ
「そこの青色髪が中途半端なあまりに迷惑をかけるな」


ルジェ
「あたしが一番気にしてることを言い放った上で
 まるであんたが面倒見てる風な言い分ざっけんな!」


オクエット
「相変わらず仲がいいな!」


ヴェレンノ
「本気で言ってる?」





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複数人、精神的におかしくなるものが出てきた。
ヒブリアにスミレにリタ。ヒブリアはまだ話す余地があり、会話を行った。スミレにリタは昏睡状態。いかに自分たちが彼女らを頼りにしすぎていたかが分かる。

無理をするな、休め。この言葉は、『同じ立場に立ってから』初めて言える言葉だ。だって纏める者がいなければ崩壊が起きるのだから、彼らを休ませるわけにはいかない。己の不甲斐なさを感じるが、ここで余まで潰えれば……。…………。最近の余の扱いを見る限り別に大丈夫な気がするな……
弥生が頑張ってくれている。嵐が去れば、いかに残り僅かであろう資源で島を生き延びるか、という話になってくる。こういうとき、いつもと変わらないままでいてくれるフィンやコマチらの存在が大きい。

もう一度……もう一度?、上に立つ者の務めができるように。
船が来るまでもう少しだ。ペオニーの願いを叶えるまで、動いてくれよこの身体。


ヒブリアは、望まぬ形で願いを叶えてしまうと申した。
彼がこの島で皆と共に居たいと願ってしまったから、嵐を呼び皆諸共死のうとしているのだと。
そんな願い、叶えられてしまえば困る。
無人島で遭難し、力添えを頼まれた。願いに反する願いが叶えられてしまえば、シャルル様の顔に泥を塗る。それに……そんな未来、余が良しとしない。

だから勝負だ、ヒブリア。
貴様の願いとペオニーの願いの、どちらが強いかの。





壁を伝えば、まだ辛うじて動ける。
まだ。まだ、余は動くから。







痛みはなく、少しずつ感覚が消えていく。
触れられていることはまだ分かるが、最近は何かに触れている感覚が少しずつ削がれていっている。力も入らず、ロクに立てない。

動けなくなるのは時間の問題だ。だけど、動けなくなるくらいまで持たせて見せよう。
力のタロットカードの正位置は、強い意志。力をコントロールし、全てを赦せ。