■ 海洋運送船の護送依頼
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| 【海洋運送船の護送依頼】 |
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| ツルボの街から南洋諸島まで、 |
| 海賊や海洋生物から荷物を護衛してくれる|
| 3〜6名の冒険者求む。 |
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| 拘束期間は約7日間(天候により変動) |
| 寝床と食事はこちらで用意します。 |
| 報酬は銀貨2000枚相当、危険手当あり。 |
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| ※煙草、火晶石等、火気の持ち込み厳禁。|
| ※海洋知識のある冒険者なら尚歓迎 |
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| マンカイ商店 |
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けっこういい依頼だった。
船旅は酔うから嫌だという奴も多いんで競争者が少なく、
うちには海が好きな奴がいるからモチベも高い。
寝床と食事付きで報酬も悪くない。交渉しなくとも満足行く。
万事オッケーだった。特に、休暇から帰ってきたばかりのリーダーはそりゃもう目と鱗をキラキラさせて喜んだ。子供か。
依頼人も商人らしい気っ風のいい男だったので、
寝床の狭さと少しの退屈以外には特に文句なし。
3日間はそんな感じだったのを覚えている。
問題は4日目から、にわかに風が強くなってきたこと。
日が高くなる頃にはすっかり嵐に変わってしまい、
退屈は船の帆を畳んだりあらゆる扉を閉めたり干していた洗濯物をかき集めることに吹き飛んだ。
流石に俺も肉体労働を避けられなかった、つらいな。
冒険者として最低限の体力はあるけど、それ以上無いんだよ。
「ねぇ〜これ酔うんだけど〜!」
「ちょっとこんな嵐は聞いてねえぜ」
「嵐相手には喧嘩できないから不満そうですね、ルーガ」
「どうかなパドッタ、いつ止みそう?」
「う〜ん……そう何日も続かないとおもうけどなあ。アニスも精霊さんに聞いてみたら?」
嵐の甲板で仲間が口々に嵐について喋っている。
確かにちょっと想定外だったのか、
本業の航海士達も慌ただしそうだった。
とはいえ俺もやることはやったので、大人しく部屋に戻って航路の再確認をしようか、と思った時。
ふっと、視界に島影が見えた気がした。
「どうしました、サート?」
「いや、あそこに島があると思う。この天気じゃさすがに鳥は飛んでないが」
「本当ですか?ちょっと船長さんにもお伝えしてきましょう」
ほっとしたような顔をしたフートの頭を、
濡れた手で少し撫でた。
一時的にでも島につけば、やたらに波に揉まれず済むかもしれない。そう思って、その島の距離を測ろうと少し甲板から身を乗り出した。
ほんとに少しだったんだけどな。
その一瞬に、打ち上げるような波と、掬い上げるような風が合わさった時。俺は、
気がつくと船から離れていた。
「サートっ!」
この6人の中じゃ一番大柄の俺だ。車椅子のフートじゃ声を上げるのがまず精いっぱいだった。
「え、落ちてる!?」
「嘘でしょサート!?」
他の奴らも距離がありすぎる。無理だ落ちる。
「おい、大丈夫か!」
「へんじしてーっ!」
叫んだと思ったけど、海中なのでどうにもならない。
幸い、半人半鯱だから水中で息を止めるのはひとより得意だ。
……いや、それにしても大ピンチなのは変わらない。
どうあがいてもこの嵐では船に戻れない。
浮き輪っぽいものが投げ込まれたが、波にもみくちゃにされていく景色が遠ざかっていく。
……それで、
こんな馬鹿みたいな死に方死んでもするか、
馬鹿野郎。
そう思ったところまで、覚えている。
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で、気が付いたらここにいて、俺の手をちっさいカニが踏んでいった。
命が助かった、それならよし。
個人的な荷物はほとんど流された、これは最悪だ。
おまけに試してみたが、この島は何かおかしくて、いつも使ってるはずの魔法が使えないわ、水中での息がまともに止められないわで散々だ。俺が何をしたっていうんだ。
いや、色々してるけど。ツケを貯めてるとか。
フートと今度一緒に出かけるって約束したのに依頼疲れで寝過ごしたとか。あと色々。
とにかく、仲間のもとに戻る方法を探らないとな。
あいつら俺がいないと何するか分かんないぞ。