Eno.451 マギサ

■ 台風の〝目〟と……約束破り

ほんの少しだけ、雨風が弱まってから、すぐに吹き返しが始まった。

それは、もしこの嵐が〝台風〟と呼ばれるものであれば、その〝目〟を通り過ぎたという事。

〝目〟に入った間に、耐え凌ぐための備蓄を追加しておいたから、余程長引かなければ、もう足りなくなる事も無いだろう。

しかし……自分で書き置きした事を、よもや一番最初に自分が破る事になろうとは。
備蓄を追加できる時間が無かったら、或いはあたしを生かそうとした事で、備蓄が足りなくなり、最終的には〝全滅〟していた可能性も否めない。
それでも、このお人好しな連中は、〝私〟の〝負の感情〟であるあたしを心配してくれた。

それを、切り捨ててしまうのは、無下にしてしまうのは……

ああ、とても癪に障る。面白く無い。

たまたま運良く持っていた、ミネラルウォーターが入ったペットボトルの中身を飲みながら、どうしようもないくらい、あたしもまた〝私〟の一部分のような存在なのだと、改めて思い出した。