Eno.40 篠崎メグル

■ 晴れた!!!!!!!!!!!!!!!

嵐が去った!!!!!!!!!!
雲がない。強風もない。雨もない!
こわい思い出も、一緒に去って行ったような気がしてしまう。
実際はただ、雲が通り過ぎて行っただけだというのに。

嵐が去った後、水平線に浮かぶ影を見つけた。
立派な木造船だ!
みんなが持ってきたオタカラを見る限り、海賊船だったようだ。

イヴァーナ隊長が船の設計図を持ってきてくれたよ!!!!!!!
本当にすごい!!!!!
あとは船のためにいろんな素材を集めて、
フォグくんがそれを作れば……きっと脱出できる。

みんなで騒いで、サートくんとぶどうジュースをシェアした!
すごくおいしかった!!!!!!!!!
ここまできたんだから、絶対に脱出しないとね。

元気がないことがミツバにバレてたけど、緊張ごと吹っ飛んだ。
晴れっていいなあ、やっぱり!!!!!


あと、サイコロ回すやつで勝った!!!!! なんかツイてるな。
賞品に道路をリクエストしたよ!!!!
拠点の地面を整えてそこに敷いた。
たぶん便利だよ!!!!!!!!!

明日からまた伐採の日々だねえ。
だって絶対船、木材使うもの……

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すごく難しいことが世の中にはある。
人間が生きていくうえで守らなければならない約束事や、
神の代わりに行わなければならない事、
ひとりではできないこと、
正しいかたちがないこと。

ぜんぶ、ヒトが知性を持っているから生まれる問題だ。
社会の構造とかもそう。環境なんかもそう。
弱肉強食を無垢に信じるだけじゃどうにもならないような、
何も考えず駆け抜けていければいいのに、と思うさまざまなこと。

罪から逃げる事とか、向き合うこととか、
差し伸べられようとしている手を取らない事とか。
あるいは見て見ぬふりをすること……
ないものとして扱うこと……
求める形の救いだけを探し続ける事。


この島は楽園なんかじゃない。
楽園に見えるのは、ここにみんながいることと、
みんなが『脱出する』という目標を掲げていること、
そして時間が一週間しかなかったからのように思う。

そこに人間関係のしがらみは影響するヒマがないし、
過去や未来に思いを馳せる時間もそうそうない。
見えるのは『現在』がほとんどだ。

「ごはんはあるか? 水は足りてるか?」
そういうことを考えて、心が満ち足りている……
……あるいは、それしか考えられないことで、
目を逸らせる場所から逸らして、
ようやくいまの関係が出来ているように思う。

この島が沈まないで、いずれボクたちがお互いのことを知るとき、
ここは『現実』になっていく。
知性によって、ヒトを好きになり、嫌いになり、希望を得て、失望する。
それがはじまったら、ここには社会が出来て……
さまざまな破滅が生まれるだろう。

そういう予感があるから……
ボクはここを出て行きたいし、島には沈んでほしい。
ここは……夢であったほうがきっといい。
悪夢になる前に、現実へ帰ったほうがいい……そんな気がする。


“ボクが”“一人で”できることは、ない。
ボクは強くないし、ボクの世界の社会は絶妙なバランスで流れている。
ボクの住む環境も、しっかりしてはいない。

そして、ボクは、こんな場所でなければ、
ヒトと協力するのはとても苦手だ。
ここでもほとんど伐採と木材だけに絞って行動してきたし。
それがいちばん生きやすいのだ。


だからつまり……えーと……
色々な意味で……
ヒトはひとりでは生きていけないってことだ。