■ ~ある日の海の船の上~
――とある救助団体の船が、海を走る。
数多の孤島が浮かび、地球に似た性質を持ちながら、その大半が海水で満たされた海洋世界。
異世界の〝海〟と繋がり、不定期に〝海続き〟になるせいで、神隠しめいて漂流する者が後を絶たない。
そんな異世界の漂流者たちを、一人でも多く救助すべく、今日も船は、どこまでも広がる海を走り行く。

「ヘイ、ヘイ、ホ~♪」
……そんな救助団体に紛れて、潮風を受けながら、御機嫌に歌を歌う少女。

「ヘイ、ヘイ、ホ~♪」
彼女は、人間では無い。
頭から伸びる、小さな二本のツノと、黄色と黒が混じり合った、さながら虎のような色味の、亜人であった。

「ホ~ント、残念な妹ちゃんなんだからさ」
長い尻尾を、ゆらりと揺らして、笑いながら一人、呟いた。