■ 嵐の後に、俺たちは
長い嵐がようやく過ぎて、島が久々に晴れてくれた。
飛来物の痛みに懲りて拠点に篭っていた俺たちを出迎えてくれたのは、とんでもないサプライズで。
……大きな海賊船、その残骸。
残骸であり、新たにこの島に流れ着いたものがいない。
それでいて一部のハンモックや米なんかは使用、食用に足りるほどに質を保っている……
そしてゴロゴロと転がっている金貨に指輪、
血のように芯まで赤い珊瑚。
これも持ち帰れたら、報酬はかなり期待できそうだ。
この船の元のあるじには悪いが
(不心得者だけど黙祷)、
最高だ。知的好奇心が溢れ出て止まらない!
この船はどこから来たのだろう。
どんな世界、どんな文明から?
そのルートも判れば、この絶海の孤島から抜け出すための糸口になるかもしれない。
香辛料に原料となる木の実まで積んであったことから、おそらくこの船はスパイスの取引もしていた、もしくは略奪でそれらを得る私掠船だったのだろう。
よくある海賊の帽子が二つあったのは、代えの帽子なのか船長争いでもあったのか……
今は俺から語り部に聞くこともできない。
浮き輪や大砲を転がしてくるもの、
船の設計図に湧き立つもの、
船のラム酒を分け合って飲むもの、
そんな中でも日々の木材や食糧のために動いてくれたもの、
そしてそれを見て、船を作ると決意したもの。
めいめいが収穫品に歓び、『嵐が明けたら食べたいもの』を分け合うその様子は、
まるで俺たちの方が海賊の宴をしているみたいだった。
シャーベット、ほんとに美味しかったよアヤノ。
海の国のビーチで売ってるやつも、あんたに食べてほしい。
フート、もうすぐ帰れると思う。
うちの自慢の海賊の船で。
待たせてごめん。