■ 【三つの船と二つの疑念】
ずいぶんと立派な難破船が流れ着いたみたいだな。
どうやら俺がくたばってるときに見た船は幻覚なんかじゃなかったらしい。
噂によれば金属がどうの金貨がどうのと結構悪くない散策結果だったようだ。
・・・あぁ正直喉から手が出るほど欲しい。
だが、ふと船を見て二つ不安がよぎった。
いやいや、考えなかったわけじゃないが・・・考えないようにしてたことだ。
一つ。
果たして数日おきにそばを通ると噂の船は、
俺たち全員を載せられるほど大きな船だろうか?
考えてもみろ、この島にはざっと30人はいる。
船が一隻通りかかったとして・・・一度に全員を運び出せるだろうか。
もし無理だったなら?新たに残りの全員を運びたすために船を呼んでもらうとして一体何日かかると思う。その間に島が沈まない保証なんてない。
二つ。
そもそも俺はその船に乗れるのか?
役人に見つかるのは少々まずい。俺の命と比較しても圧倒的にまずい。
公の面前に晒されて大将の顔に泥を塗るくらいなら無人島で
ひっそり木々の肥料になる方がマシだ。
一体通りかかる船はどこの国のモンなのか・・・
できれば俺たちの事を知らないくらい辺境の漁船・・・
あ、でもそうなると30人乗れる船は持ってねぇか。フム・・・
いかだは、作った。だがこれで出るのは現実的じゃねぇ。
ただ・・・現実的に脱出できる船を作るには俺一人じゃ資材を集めきれねぇ。
拠点の連中に助けを乞うてもいいが・・・
「10人ほどしか乗れない船を作るのに20人の力が借りたいです!半分乗れませんけど!」
・・・な~んてふざけた要求を飲むヤツはいまい。
ふん、詰んだな。
いっそ泳いで島から出るか?