Eno.139 薄井すもも

■ あおいそら ひろいくら

長く島を覆っていた黒雲が晴れる。
三人で拠点を補強し、水を、食糧を確保していたことで、無事に危機を乗り越えた。
しかし負傷してしまったものがいる。もうひとりの仲間、ひみつきち。
最初に作られた壁が壊れていたのだ。
数日のあいだ三人を守り続けて、そこへ訪れた嵐でとうとう限界が来たのだろう。
役目を果たしたその姿を、皆でねぎらう。

風がもたらしたものは危機だけではない。大きな船が、島に流れ着く。
さっそく浜へ向かい、新しい探検場所に乗り込んだ。
無人のそこで子供が見つけた物は、金貨、時計、缶詰めに香辛料。火薬などという物騒なものまで。

持ち帰り、倉庫に入れつつ、もふもふの少女が見つけた物も眺めた。羅針盤は格好いい。
赤い髪の少年に、二人で拾ってきた物を見せびらかす子供。
さらに船の設計図まであったらしい。
直すならば木材が大量に必要になるかもしれない。倉庫の空きも心許ない。

すかさず立ち上がる赤い髪の少年。一気に作られゆく倉。さすがリーダーである。
もふもふの少女も、尽きかけていた飲み水を復活させた。さすが泉の女神である。
子供も久々に晴れた空の下で釣りをして、食糧の確保。親分なので。

新たな探検に備え、万全の構えを整えて。
もふもふの少女が作ってくれたポプリの心地よい香りの中、嵐の時の疲れを癒すのであった。