Eno.253 半人半鯱のサート

■ 貴女に会いに、絶海を

日々、陽の傾きを見て罠を見に周り、
釣り糸を垂らす生活ももうすぐ終わるのだろうか。

というか、この海は強制的に終わらせてくるのだろう。
最初に拾った便箋の言うことが正しければ。

救援の船が来るための手がかりも全力で残しているし、一縷の望みをボトルレターにも詰めてある。それが功を奏しているかは分からないが、こんなところで死ぬもんか、馬鹿野郎という気持ちは片時も変わらない。

こんなところで、この島の仲間たちを一緒に沈めてしまうわけにもいかない。同じ釜の飯を食った仲だ。

……サミュとアヤノの大きな声を思い出した。
二人ともあんな子供なのにとちょくちょく思っていたけど、
子供って数日であんなに決意が大きくなるんだな。
あんたたちが何処に行くのか分からないけれど、
いつか冒険者としてすれ違う日があれば良い。
帰る場所がある人の所にも、俺の方からいつか出向こう。
……半人外に不慣れな土地はどうにかして、
俺の肌の色を誤魔化す必要があるな。
名前も『モビィ』の一件で思ったけど、メグルやシマさんの世界の名前とは随分かけ離れてるらしい。
なんて言ったっけな、俺の名前の響きに似てて、極東でよく使われてる名前。サトー……サトウ?

古布で磨いていた指輪が、
そろそろ元の輝きを取り戻してきた。
フートのヒレには小さすぎる指輪だ。
ネックレスにでもして持ち帰ろう。

あいつらの船とすれ違ったらどうしよう?
やっぱ飛び乗るしかないんじゃないか?
昨日はちょっと真面目に考えてたけど、
あいつらならやりかねないぞ?
どうする?