Eno.531 ナラーシュ・ディンブラ

■ -8-

来た時よりも足早に嵐は去っていった。

本当に嘘のように晴れたな。また雨に変わったがそれはここではいつもの恵みの雨だ。
この経験も持って帰れば糧だ、と帰ることを考えつつ。どうも俺はここの生活が気に入っているようだ。あんな嵐に遭ってもどこかに楽しい気持ちがある。もう少し留まりたいようなそんな。
…といってもな。実際帰らないと仕事が。俺の代わりをみつけてくれとはさすがに言えない。

しかし、遭難したのが一人だったらどうだったろう。ひとりで水を汲み飢えをしのぎ嵐にあい。同じように留まりと思えたかは分からないな。

1人ではなかったことに感謝しかない。というのが率直な気持ちだ。

料理するにも1人じゃな。なんでもよけりゃ俺は草でも適当に食って過ごしただろう。