Eno.217 今田

■ コイントス


彼らは砂浜に狼煙を上げた。
「これで救援が私たちを見つけるでしょう。」


「空太君は遭難前のこと覚えてる?」
「僕は家族旅行の時に…確か、妹を探していて、それから覚えていないんだ。海に落ちたのかもね。」
曖昧な言い方だが、自分の置かれた状況にあまり慌てない様子だ。

「私は......港にいる時、海に突き落とされたらしい」




そう言って、彼女は少し怖がっていた。




「もうそんなこと考えないで!僕たちきっと大丈夫よ」
「うん…」
彼女の不安は消えてないが、子どもの前ではそれを見せてはいけないと思って無理に笑顔を作った。



「あと数日で救援の船が来るよ」
「どうしてわかるの?」
「僕が目覚めた時、横に瓶箋があったんだ。中の手紙には「7日後に船が来る」って書いてあったよ。あれからもう3日も経ったかな。」
「……」

「……その手紙、私にも見せていい?」
「あっ…………捨てちゃった」
少年は紙のことを話したくないようだが、彼女も深入りする気はなかった。自分を慰めるための嘘かもしれないから。





「ふーん。お姉ちゃん、ぼくの話信じてくれないんだね。わかった。」

少年はコインを取り出した。

「コイントスしよう。何度ても当たれるから。お姉ちゃんが投げて。」


彼女はコインを投げた。
「裏」、「裏」、「正」、「正」……
十回近く投げたが、少年はすべて正解だった。
途中にコインに問題あるのかと疑ってコインを交換しても正解続いていた。
彼女も当たてみたが、どれも外れた。


「すごい。超能力者みたい。」
「これで信じてもらえる?数日後に船が来るよ。僕たちきっと助けられるから。」



「信じるよ。」

さっきのコインの原因なのか、それともただ彼女が不安なことは考えたくないのか、今の少年の言葉は前より説得力あった。
もちろん自力で脱出方法を探すことに彼女はまだ諦めてない。