Eno.25 漂流のナダちゃん

■ LOG#05

「――傷、汚れ、欠け、瑕疵。
あらゆる痕跡には所以《ドラマ》があるんだ」



「――年季はやがて想いになるンさ。
古びた道具を見つけたら良くしてあげな。いいことあるよ」



「この船はおそらく、――の、――型かな。
船はいい。その重厚な見た目に反して、たくさんの物を運ぶことができる」



流れ着いた無人島でひとときの休息をするとき、
わたしの夢の中にはいつも親しい知人が現れます。

彼女たちは皆、わたしと異なる何かに秀で、そして何かを究めんとしている。
わたしもそれは例外ではなくて、きっと彼女たちも少なからずそう感じているのでしょう。

だから――たぶん、この気持ちは隣の芝生を羨んでいるに過ぎないのだと思いつつ、
わたしは、彼女たちの話をにこやかに聞いている。


――夢、ですか



結局、わたしの中にいるこのもやもやの正体が分からないまま、
わたしは起きて、また作業に戻ります。

……先生でさえも、"全て"にはなれない――そんなことは、分かっているにも関わらず。


「……今日は、あれを作って、引き続きあの調査をして――」



わたしは、一人で"全て"になろうとしてしまっている。
そんな危機感をどこかで覚えながら。