■ アラビア語の日記 十一頁目
アブラホリ家は原油採掘家の家系だ。
この家に生まれた者は、表層の地形や地層学的な観察から、
地下に埋蔵される原油の在処を正確に見抜くための観察眼を
徹底的に叩き込まれる。
そして、この僕もその内の一人だ。
僕の母は“父の家庭”の中では末席に着いていた。
それに、“その家庭”の数も普通よりずっと多かったから、
僕たちの暮らしは絵に描いたような富豪の生活とは
大分かけ離れたものだったと思う。
そうして、一通りの訓練を終えたとき、
僕は父の子供の内で、一番高い適性を示す事が出来た。
その事を、僕自身と、母の名誉のために喜んだ。
けれど、その事がかえって僕自身の立場を難しくするとは、
そのときの僕は、ちっとも気付いていなかった。