■ 縞三八の日記8
泳子という名前の由来。
私の両親は父も母もどちらもひどい【金槌】なんだって。
それで私が産まれるってなった時に『泳ぎが得意な子になって欲しい』
って理由で私は『泳子(えいこ)』という名前になった。
……その名付けが功を奏したのか、
あるいはちゃんと幼少期からそれなりに泳ぐ訓練をしたからなのか。
とりあえず、
今の私は人並み程度には泳ぎが出来るようになっていた。
私の名前の意味はたったこの程度のものだ。
少し前――
私の地元で行われた非公式の水泳大会で
飛び入り参加した小学生の男の子が地元の公式大会の最速記録を追い抜いたということでちょっとした騒ぎになったという事を中学生の従妹が伝えて来た。
名前は確か……熱海 優介(あたみ ゆうすけ)君だったっけ?
私は名前まで泳いでいるのに……それを聞いた時はやっぱり少し複雑な気分だった。
追い越された子――全国大会とかの常連らしい、
大冬慈 水母楽(だいとうじ くらら)さんの方も、まだ従妹と同じ中学生だっていうし。
……2人がどんな努力をしてきた人なのかは知らないけれど、
やっぱり生まれた時からの才能って……あるんだよね……?
…………
やっぱり、生まれ持った才能とか
あるいは努力出来る情熱とか――
そういうのがあった方が将来の夢とかも沢山見えてくるよね。
ハテコーに進学してきてから。
……特に2年になって今のクラスになってから。
なんかそういう才能とか、本人がその道を目指してる感じとか、
そういうものが目についてまぶしく感じる機会は多くなった。
既に何かしらのプロなんじゃ? って思うような人が何人も居て、
ここではそういう人たちに数えきれない位助けられていて、
それで、こないだの夜ちょっと将来の話っぽい感じになってみたら、
皆ではないけどやっぱり進学先とかもちゃんと考えてたりして。。。
……やっぱり、うらやましいのもそうだけど。
眩しすぎるなぁ……って、そう思っちゃう。
私は勉強どころかゲームですら大した努力が出来なくて、
それこそ3つ下の従妹の方がはるかに上手だし。
…………もし、これからちゃんとこの島を脱出して、
東京まで帰ってくることが出来たとしても。
……一体どうしたら私は他の人みたいにちゃんと出来るんだろう?
得意な事も無いし、なりたいような事も浮かばないよ……
私は……この先、一体何になれるのかな……?